「なあ、天野。やっぱり白身からだんだん味の濃いネタにしてくのがいいのか?」
「はい、確かにそのような意見が多いようですね。濃い味の鮨の後では薄い味が解らなくなってしまうので。ですが、お茶やガリは前に食べた鮨の味を消してくれますから、お好きな順番でも大丈夫ですよ」
「ううむ、さすがは天野」
「さすがというのはなんとなくひっかかりますが、私も『サライ』で読んだことの受け売りですから」
「『サライ』ってアレの読者層は……いや、なんでもない……トロください」
「では私は寒平目を」
「なあ天野、別に順番はこだわらなくてもいいんだよな?」
「ええ、勿論ですよ相沢さん。私は白身が好きなので」
「なんつーか、渋いな……」

「はい、おまちっ」

「うん……うまい」
「これは、昆布の旨みがよく染み込んで……上品な味わいが口の中に広がって行きます。絶妙な仕事ぶりですね」
「……海○雄○?」

一番旨いもの食べてるのは佐祐理さんな気がするのに、鮨の薀蓄語るのは美汐が似合いそうなのは何故だろう……