にぎにぎ
――こんなこと、栞や名雪に知られたら あたしは心臓の鼓動が速くなるのを自覚していた。伏目がちにソレを見る。ソレは想像していたのと比べると細身だった。あたしは恐る恐る手を伸ばし、柔らかさと固さが相半ばする感覚に戸惑いながらソレをそっと握る。そして相沢君の顔を一瞬――決して目を合わせないようにほんの一瞬だけ――見る。鼓動はますます速さを増し、息をするのも苦しいほどだった。それでもあたしは意を決して、指先を滑らせて、包まれているソレの先端を剥き出しにすると窪んだ部分をそっとなぞり、右の親指と人差し指とで軽く挟みつける。一方で左手の指で根っこの部分を軽く抑えると、かるく引っ張り上げ、カチカチに固いソレをぎゅっと握り締めた。 「相沢君……」 あたし、貴方が…… 「ん?呼んだか香里?」 「あ、相沢君っ!?」 いきなり声をかけられたあたしは思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。 「あれ?香里って『お守りなんて非科学的な』とか言ってなかったか?……ああ、それって握り守護って言ったっけ。握りながら祈願すると成就するって奴だっけな」 しまった、お守りに気を取られて周りに不注意になってたみたい。嗚呼、神頼みとか占いとかなんて迷信だとこれまで散々莫迦にしておきながら…… 「ちょ、ちょっと相沢君。これはその、あたし、栞には……秘密に……お願い」 このことが栞に知られたら、間違いなく笑われる。ましてや願い事がバレたりしたら……「ああ、解った」 その瞬間、希望の光があたしを照らし―― 「今さ、栞の健康をお願いしてたんだろ。やっぱり妹が可愛いんだなぁ」 「え?」 それは違います。 「いや、そうじゃないのよ」 「まぁまぁ、照れるなって」 「だーかーらー」 相沢君の果てしなく好意的な誤解を解こうにも、あたしの本当のお願いを言うことも出来ず……ああ、もうどうすればいいのよっ
罰が当たりそうな気がしてきました……
写真のupを忘れてた……_| ̄|○
長さ8cm、太さ2cm弱の六角柱形状。ぎゅっと握って満願成就