プール
青く透明な視界を水面から入射した光がゆらゆらと照らしていた。 ふと、何故水は青いのだろうか?と疑問に思う。 もちろんそれは水が赤色や黄色といった波長の長い光を吸収し、短波長の青色を散乱するからだ。教科書通りの答え。 「ならば何故青色は青く見えるのだろうか?」と、唇を動かしてみる。口から漏れ出た空気が泡となって視界を駆け上っていく。 「青いから青く見えるのだ」 再び泡。勿論それはトートロジーに過ぎない。あたしは正解など与えられようはずもない袋小路に思考を巡らせ―― バシャッ! 「がぼっ、ぐっ、……な、何よ相沢君!いきなりっ!」 水飲んじゃったじゃないのよ、もうっ。 「何って、そりゃこっちの台詞だ香里。潜ったきりブクブクやって何を遊んでるんだ?」 相沢君はサボリを見つけた体育教師のような目つきであたしをみる。 「べ、別に遊んでた訳じゃないわ。こう、水の青さについてちょっとした哲学してたのよ」 「哲学ね。そりゃ大いに結構だが、まずは泳げるようになってからにしてくれ」 「う〜」 くやしいが、反論も出来ない……大体陸上生物の人間が泳げるというのがおかしいのよ。相沢君、両生類か何かじゃないの?ケロピーみたく。 「ほら、栞に泳ぎ方を教えてやりたいんだろ?だったらまずは25m泳げるようにならないとな」 「う〜」 「ホラホラ、唸ってないでバタ足の練習だっ」 「栞ーっ、お姉ちゃん頑張るからね〜!」
個人的には香里カナヅチ説を主張してみる。