sister love


「お姉ちゃん、やめようよ」
「何言ってんの、あんたが言い出した事でしょ」
「そ、それはそうだけど、やっぱり人の部屋を勝手に調べるのは……」

妹の制止などどこ吹く風で容赦なく物色を続ける杏。そして背後には為すすべも無く困惑するばかりの椋。二人が家宅捜索を行っているのは朋也の部屋である。因みに岡崎家への出入りだが杏がピッキングしたとか力任せにこじ開けたとか言うわけではなく、椋が持っているスペアキーを使ったのだ。もちろんそれは朋也に渡されたモノで――

「しっかし、自分の巣にのこのこやってきた獲物を見逃すなんて、どうしょうもない甲斐性無しねぇ」
「お、お姉ちゃん、朋也くんはその……私を大事にしてくれて」
「あー、はいはい。大事にしてもらって欲求不満になってりゃ世話無いわ」
「お姉ちゃんっ!」

杏は馬耳東風で妹の抗議を聞き流し、本棚の捜索を終えるとベッドの下を覗き込む。

「お、ベッドの下になにやら薄い本が……」
「そ、それって、ひょっとして?」

姉の暴走になんだかんだと言いつつ結局は喰い付く椋。杏はベッド下に手を伸ばして本を掴み出す。扇情的なポーズの少女たちが書かれた表紙を見てニヤリと笑った。椋が背後から覗き込む。どうやらコミックのようだ。

「ビンゴよ。ふふん、どれどれ朋也の性癖は、と……」

パラパラとページをめくる杏。適当なページを見開いて中を吟味しようとするが――

『お姉ちゃんっ、んぁっ、はぁっ』
『やぁ、駄目、あたしもう駄目ぇっ』
『い、いいぞ、二人とも、うぅっ!』

「はぅっ」
「やだ、これ、3人……」

視界に飛び込んできた過激な描写にあっさり撃沈される椋。杏も羞恥に顔を真っ赤にしている。その上、見過ごせない設定が含まれていた。

「この子達、『姉妹』なのね……」
「……お姉ちゃん、なんだか、私たちにちょっと似てるね」
「ななななな、何いってるのよ椋」
「この人の恋人がショートカットの方の妹で、お姉さんが髪長くて……」
「それは、確かにそうかもしれないけど、でも」
「朋也くん、もしかしたら私一人じゃ不満なのかも……」
「そんな、でも、朋也が、まさか……」」

その頃朋也は、姉妹の妄想と対策が暴走しているとは夢にも思わず、彼女の待つ我が家へと急いでいるのであった。

http://d.hatena.ne.jp/take-w1/20050401
>次回は藤林姉妹に是非とも姉妹丼・・・うわなにをするやめっ!!
本作は上で頂いたコメントから。