長門有希の口中2

http://d.hatena.ne.jp/take-w1/20060511/p1

さて、俺はいいかげん何度目かカウントする気も失せるがまたまた面倒ごとに巻き込まれ、それについて一々説明する気にはなれないので詳細は別の機会にするとして懲りずに長門に何とかして貰おうという状況下に居た。はっきり言って進歩ないこと夥しい。いつもすまん長門。

「手を」

そんな俺を別段気にした様子もなく促す長門。例の何とかフィールドを展開するためだ。
しかし初めての時手首を噛まれる感覚がむず痒かったと言ったら、次は指を噛むんだから参った。指先が長門の舌が触れた瞬間はゾクっと来たねって、何言ってるんだろうね俺は。

「あー、噛まずにって訳には行かないのか?いや、痛くて我慢できないって事は無いんだが」

長門の前髪が微かに揺れる。

「可能」

その言葉にホッとする。正直あのなんともいえない感触は嫌ではないというか、むしろイロイロな意味で駄目になりそうで。

「血管からのナノマシン注入は最短時間で効率よく実行できる。効率低下に伴う多少の時間増を許容できるなら異なる方法でも問題はない」

ならそれで行こう。で、どんな方法なんだ?

長門は無表情のまま淡々と説明を続ける。

「粘膜を介した注入」

ふむ、粘膜ね。……粘膜て、おい?

「わたしと貴方、双方の粘膜を接触させた状態にしてナノマシンを貴方の体内へ導く。実施には双方で複数の部位を使用可能だが最も簡単に実施できるのは口腔同士の組み合わせ。その他の箇所を含めると順列組み合わせは全部で――」

待て、ちょっと待てその先はNGだいくらなんでもヤバイだろ。というか、最初のも十分にアウトだ。俺は慌てて長門の言葉を遮ると提案の却下を宣告しようとして――長門の抗議するような視線に射すくめられた。固まっている俺に長門は身を寄せると両手を俺の頬に伸ばしそっと口を開いた。

「代替手段の採用を決断したのは貴方」

たぶん、メモリ空間にエラーが蓄積された状態
ちなみに口中はロシアと中国のこと。ではなく。